絵板で描いた落書きをつなげてみました(笑)
〜夜の香を撒いて麗しく〜
 何時の頃からだろう・・・?

「あぁもう秋でやすねぇ」
誰ともなしに呟いて、道の端に咲く萩の枝に手を伸ばす。
そしてその赤紫の花弁に、秋の深さを確かめるかのように唇が触れた。

私はその花弁を、羨ましく憎らしく思った。


思えば先日も・・・・

 嵐の過ぎ去った渓谷に響く声

「おっと・・・鵺が啼いていやがる」
「へぇ。あれが鵺の声ですかぁ。話には聞いていましたが、本物を聞くのは初めてです。確かに妖しげな声ですねぇ」
本当は、鵺は物の怪などでは無く、虎鶫の事だとは知っていたけれど・・・
「万葉の歌などでは、鵺は成さぬ片恋の枕詞になってます。そのせいか物悲しくも聞こえますね」
「歌なんてェ高尚なものにァ、奴、トンとご縁がありやせんのでね」

大方、昨夜の嵐ではぐれたァ番の相手を、呼んでいるんでやしょう・・・

そう呟いて歩を早める小柄な背中。
その背中を見る私の心には、鵺の声が痛いほど沁みていた。

そう・・・私は。

又市さんが触れるもの。
又市さんが語るもの、すべて。
憎らしくて。
羨ましくて。

私に語って、私に触れて欲しくて。
これが片恋というものなのかと、焦げる様に痛む胸を押さえた。


このままでは、おかしくなってしまう・・・
熱く焦げる様な痛みを抑えるために、飲めぬ酒を飲んだ。
でも。

チリチリチリ・・・

チリチリチリ・・・

胸の痛みは治まらない。

「又市さ・・・ん」

チリチリチリ・・・

チリチリチリ・・・



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